糖尿病と診断される基準
会社や自治体などでの定期的な健康診断においては、血液中の血糖値の測定が行われるのが普通ですが、血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、1デシリットル中に含まれているブドウ糖の量がどれだけあるかを数値として示したものになります。
この血糖値の測定結果は、糖尿病の診断基準の上で重要な役割を果たすものですので、健康診断のたびにチェックするのがよいといえます。
糖尿病診断の指針
全国の専門の医師などで作る日本糖尿病学会では「糖尿病診断の指針」とよばれる診断基準を設けていますので、通常糖尿病であるかどうかの診断は、この基準にもとづいて、更には肥満や高脂血症、高血圧といった他の症状などを加味して行うことになっています。
2009年に糖尿病の診断基準が改定され、新たにヘモグロビンA1c(HbA1c)の数値が加わりました。その前に策定されたのは1999年なので10年振りに改定されたことになります。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)の基準値も2つあって、6.1以上を糖尿病とするものと6.5以上を糖尿病とする場合があります。
6.1はJDS値(Japan Diabetes Society)といって従来から日本で採用されている数値で、6.5はNGSP値(National Glycohemoglobin Standardization Program)といって国際標準値です。
日本の基準の方が厳しいのですが、今後はNGSP値が採用されるようになっていきます。
ではなぜヘモグロビンA1c(HbA1c)が糖尿病の診断基準に加わることになったのでしょうか。
なぜヘモグロビンA1c(HbA1c)が糖尿病の診断基準に加わったの?
これまでの診断基準は、空腹時血糖値が1dLあたり126mg以上または食後血糖値が1dLあたり200mg以上となると糖尿病と診断されていましたが、血糖値は食事や運動の影響を受けやすく、食事や運動で数値が変わってしまい適正な診断ができない可能性がありました。
そこで注目されたのが、ヘモグロビンA1c(HbA1c)です。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、赤血球の寿命が長いため、過去1,2カ月の血糖状態を把握することができます。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)を診断基準として導入すると、短期間の血糖の状態ではなく、長期的に見た血糖状態が把握できるので、より適切な判断ができるようになります。
ただし、ヘモグロビンに異常があると正しい血糖状態がわからないという課題があるそうですので、今後更なる診断基準が期待されています。