コレステロール大論争 日本脂質栄養学会vs日本動脈硬化学会

      2016/11/22


2014年に日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が『新たな健診の基本検査の基準範囲』で設定したLDL-コレステロール関連の検査が、大幅にこれまでの基準とかけ離れていたためメディアでも取り上げられ大騒ぎになりました。

コレステロールについての問題はこれまでも何年にもわたって論争が続いていて、データの根拠についても公開されているものが多いので、素人でも読んでみればなんとなくおかしいと感じるところは多くあります。

しかしエライ先生が言っているんだから、素人にはわからない何かがあるのだろうと思ってツッコミを入れることはなかなかできないものです。
そこでエライ先生がエライ先生にツッコミを入れあっているガチンコバトルを見ていくことにしましょう。

特に2010年の『日本脂質栄養学会』vs『日本動脈硬化学会』が非常にわかりやすいため、ここで概要をご案内したいと思います。

「長寿のためのコレステロール ガイドライン 2010 年」論争

日本動脈硬化学会 理事長 北徹さんが2010年10月14日に発表した「長寿のためのコレステロール ガイドライン 2010 年」に対する声明に対して、日本脂質栄養学会 理事長 浜崎智仁さんが反論するというもの。

重要なところを一部抜粋して、最初に日本動脈硬化学会 理事長 北徹さんの意見、そして日本脂質栄養学会 理事長 浜崎智仁さんの意見を青文字で記載しています。

全文はこちらをご覧ください。日本動脈硬化学会 「長寿のためのコレステロール ガイドライン2010 年」に対する声明(2010 年10 月14 日)―に答える

『平成 22 年 9 月 1 日に、「脂質栄養学会・コレステロールガイドライン策定委員会」という組織から「ガイドライン」が発表された。この内容をめぐる一部のメディアの報道により、一般の方々のみならず、患者やその家族の方々の間にも、コレステロールに関する認識に、混乱を招いている。』

混乱が起こるのは総コレステロール値 220 mg/dL、LDL-C 140mg/dL以下を目標とする動動脈硬化学会のガイドラインが原因だ。
日本のほとんどの疫学調査で、総コレステロール値 240-259 mg/dL 、LDL-C 160-180 mg/ dLの時、総死亡率が一番低いという報告がなされている。
動脈硬化学会が利用しているNIPPON DATA80でも、総死亡率が一番低い部分は総コレステロールで 240-259 mg/dLとなっているではないか。

『ガイドラインは忙しい現場の医師が詳細に評価するのは不可能だ。だから専門分野の診療に携わる医学研究者を多く擁する「学会」などが、診療のガイドラインを作成する意義がある。』

製薬会社が絡んだ質の悪い研究を評価してまとめるガイドラインは問題だ。それに日本動脈硬化学会はコレステロール原因説に合わない多くの論文を除外している。

『脂質栄養学会の「ガイドライン」で引用されている「メタ解析」は、厳密な科学的査読を受けた論文とは言えない論文を含めて「メタ解析」したとしているのであり、科学的な観点から極めて問題のある解析である。』

脂質栄養学会が発表した「ガイドライン」は動脈硬化学会が引用している論文も精査したし、除外されてきた論文も解析している。さらに動脈硬化学会が利用したデータの問題点も多数見つけた。

『血清コレステロール値が患者の栄養状態や顕在的潜在的を問わず疾病の存在を反映することは医の常識であり、特に肝疾患で血清コレステロール値が低下するということは診断学的にも用いられている。NIPPON DATA80 という疫学的研究で明らかになったことは、低コレステロール血症を示し、死亡率が高いという人々の集団の解析をしたところ、肝疾患が多かったということである。』

NIPPON DATA80 では、肝臓病死をたとえ除いたとしても、総コレステロールが 240-259 mg/dL の範囲で総死亡率が一番低くなっている。

『これまでに発表された科学的検証に耐えうる臨床介入試験のメタ解析の結果は、LDL 低下薬(スタチン)で血清コレステロール値を下げても総死亡が増加することはなく、むしろ統計学的に有意に減尐することが証明されている。また、これまでに行われた多くの臨床介入試験の結果によれば、血清コレステロール値が高い人々を治療して動脈硬化性疾患を予防できることは、科学的にほぼ完全に確立された事実である。』

コレステロールが高い人は総死亡率が低いので介入する必要はない。血清コレステロール値が高い人々を治療して動脈硬化性疾患を予防できることは、科学的にほぼ完全に確立された事実ではない。コレステロールへの介入では各種の危険因子をもつ対象者に対しても心疾患予防のメリットがないことが判明してきているし、最近 5 年間の高コレステロール血症への大型介入研究の結果はコレステロール原因説を否定している。

『脂質栄養学会の「ガイドライン」が発表されて以来、高いリスクを持つのにも関わらず服薬をやめたいという高コレステロール血症の患者も出てきている。日本動脈硬化学会は、科学的根拠なく、必要な患者の治療を否定するような標記「ガイドライン」を断じて容認することはできない。』

企業が大きく関わらない大型研究では、スタチンは効果がないことが明らかになった。
EU新法によりネガティブデータも公表することが義務付けられ、全ての研究報告を公表するようになってから、コレステロール低下療法はほとんど有効性を見いだせていない。
読売新聞(2008 年 3 月 30 日)に、動脈硬化学会でガイドライン作成に携わった人たちへの、業界からの寄付金額が実名入りで公表されている。驚くような額だ。

まとめ

少しわかりにくいところがあったかもしれませんので軽く補足をしておきます。

日本動脈硬化学会は総コレステロール値 220 mg/dL、LDL-C 140mg/dL以下を目標としているガイドラインを出していて、薬を使ったりして出来るだけコレステロール値は低くしよう。コレステロールが低い人の死亡率が高くなっているのは肝臓病のせいだ、という立場。

日本脂質栄養学会はコレステロール値を低くしても、死亡率が下がるわけでもないし、費用がかかる上に副作用の問題もあるのでコレステロール値には介入しないほうがいい。肝臓病死を除いたとしてもコレステロールが高い方が死亡率が低いじゃないか、という立場。

意見が真っ向から対立しているところは、どちらが正しいのかを判断するには元のデータを詳細に検討する必要があるため、企業からお金をもらっているからおかしいのではないか、と素人が感情で判断するのは避けるべきです。
(とはいいつつ気になる方もいるでしょうから、上記の読売新聞の記事を引用しておきます。『07年の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」にも、4人の委員いずれにも3年間で計約6億円の寄付が、治療薬メーカーからあった。』とのこと。)

やはり現状ではコレステロールだけにとらわれず、全身の状態を総合的に判断しないと治療の方針をはっきりさせることは難しいことは間違いありません。
心強い味方としてちゃんと相談できる医師を見つけることが大切です。

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