食事摂取基準からコレステロールの目標量がなくなったのはなぜ?

      2016/06/23


日本では未だに「コレステロールは体に悪いものだ」というイメージがあります。
しかし厚生労働省は2015年の食事摂取基準からコレステロールの目標量を設定しなくなりました。

今までいろんな人が散々「コレステロールは血管が詰まるから危険だ」と言っていたのはなんだったのでしょうか。

厚生労働省 日本人の食事摂取基準

2010年版の食事摂取基準はどうなっていた?

2010年版のコレステロールの食事摂取基準の目標量は、男性は750mg/日未満、女性は600mg/日未満。

この数値の根拠はどこから来たのでしょう。
該当箇所を引用します。

欧米人を対象とした大規模コホート研究では、食事性コレステロールや卵(約 250 mg/個
のコレステロールを含む)の摂取量と冠動脈疾患ならびに脳卒中の罹患率のあいだに有意な関連は
認められていない。アメリカ男性を対象とした卵の摂取量と 20 年間の疾病の関連を調べた最近の
研究でも、心筋梗塞と脳卒中の罹患率のあいだに有意な関連は認められていないが、卵の摂取
量の多い群で総死亡率の軽度な増加が認められている。

日本人を対象とした研究も存在する。ハワイ在住の日系中年男性(45~68 歳)を対象とした観
察研究では、コレステロール摂取量が 325 mg/1, 000 kcal 以上で虚血性心疾患による死亡率の有
意な増加を認めている。この値は、同集団の平均エネルギー摂取量(2, 299 kcal/日)を用いて計算
すると、325×2, 299÷1, 000=747 mg/日となる。日本人を対象にしたコホート研究(NIPPON
DATA 80)でも、卵の摂取量と死因との関連が調べられている(コレステロール摂取量は調べ
られていない)。この研究では男女とも卵の摂取量と虚血性心疾患による死亡率とに関連は認めら
れていない。しかし、近年の卵の摂取量との関連を調べた研究では、血中総コレステロールの
高い人は、薬物治療を行ったり、卵の摂取を控えるようになり、因果の逆転(卵の摂取が少ない人
に冠動脈疾患が多い)が生じ、近年の疫学研究の結果をそのまま使用することは困難になってきて
いる。

NIPPON DATA 80では、女性において、卵を2個/日以上摂取する群(総対象者の上位 1. 3
%)では卵を1個/日の群に比べ有意ではないが、がん死亡の相対危険が約2倍になっていた。最
近欧米で発表された症例対照研究でも、コレステロール摂取量と卵巣がんや子宮内膜がんに
正の関連が認められている。肺がん、膵臓がん、大腸/直腸がんにおいても、用量依存性の正関連
を認めた報告が多くあり、注意が必要である。

以上より、コレステロールを多く摂取した場合、虚血性心疾患やがん罹患の増加が危惧される。
このため、ハワイ在住の日系中年男性の結果から、30 歳以上において、747 mg/日(丸め処理を
行って 750 mg/日)を男性の目標量(上限)とした。女性(妊婦、授乳婦を含む)についてはエネ
ルギー摂取量の違いを考慮して 600 mg/日とした。
若年成人では食事性コレステロールと生活習慣病との関連は明らかでない。しかし、長期間にわ
たる習慣的な摂取が生活習慣病に関連することを考慮し、飽和脂肪酸と同様に、18~29 歳につい
ても 30 歳以上と同様の方法を用いて目標量(上限)を設定した。

長くてわかりにくいと思いますので、重要なところを抜き出してみます。

  • 欧米人を対象とした研究では、食事性コレステロールや卵の摂取量と冠動脈疾患ならびに脳卒中の罹患率のあいだに有意な関連は認められていない。
  • アメリカ男性を対象とした最近の研究でも、有意な関連は認められていないが、卵の摂取量の多い群で総死亡率の軽度な増加が認められている。
  • ハワイ在住の日系中年男性を対象とした観察研究では、コレステロール摂取量が 325 mg/1, 000 kcal 以上で虚血性心疾患による死亡率の有意な増加を認めている。
  • 日本人を対象にしたコホート研究では男女とも卵の摂取量と虚血性心疾患による死亡率とに関連は認められていない。
  • 女性において、卵を2個/日以上摂取する群(総対象者の上位 1. 3%)では卵を1個/日の群に比べ有意ではないが、がん死亡の相対危険が約2倍になっていた。
  • 以上より、コレステロールを多く摂取した場合、虚血性心疾患やがん罹患の増加が危惧される。

 

「ええええええええーーーーっ!!」

 

こーせーろーどーしょーの正式な文書ですよね、これ。
みなさんが上司ならこれにOK出しますか?
どうせ誰もこんなところ真剣に読まないと思ったのか、難しい大学受験の勉強で力尽きたのか。

省庁が出す文書は他にもツッコミどころ満載のものが多いですので、気をつけないといけないですね。

しかも有意な増加を認めている、という日系中年男性を対象とした研究にも実は問題があり、2015年版で訂正が入りました。

2015年版のコレステロールの食事摂取基準は?

それでは目標量が設定されなくなった2015年版を見てみましょう。
(重要なところを抜粋して掲載)

  • 卵の摂取量と動脈硬化性疾患罹患との関連を調べた 2013 年のメタ・アナリシスでは、卵の摂取量と冠動脈疾患及び脳卒中罹患との関連は認められていない。
  • 日本人を対象にしたコホート研究の NIPPON DATA80でも、卵の摂取量と虚血性心疾患や脳卒中による死亡率との関連はなく、1 日に卵を 2 個以上摂取した群とほとんど摂取しない群との死亡率を比べても有意な差は認められていない。
  • 卵の摂取量と冠動脈疾患罹患との関連を調べた JPHC 研究でも、卵の摂取量と冠動脈罹患との関連は認められていない。
  • また、糖尿病患者においても、卵の摂取量と冠動脈疾患罹患との関連は認められておらず、横断的な卵の摂取量と糖尿病有病率との関連も認められていない。
  • コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた。

ほぼ関連なし、ですね。

そして2010年版で唯一具体的なコレステロール摂取量の記載があった日系中年男性を対象とした研究は以下のとおり。

ハワイ在住日系中年男性(45~68 歳)を対象とした観察研究では、食事性コレステロール摂取量と虚血性心疾患死亡率との間に有意な正の相関を認め、325 mg/1,000 kcal 以上の群で虚血性心疾患死亡率の増加を認めている。ただし、飽和脂肪酸摂取量で調整されていないため、コレステロール摂取自体が原因ではなく、同時に摂取する飽和脂肪酸摂取量が影響している可能性がある。

飽和脂肪酸の摂取量の影響かもしれないということで却下になったわけです。

そして最後にこんな一文が。

ただし、コレステロールは動物性たんぱく質が多く含まれる食品に含まれるため、コレステロール摂取量を制限するとたんぱく質不足を生じ、特に高齢者において低栄養を生じる可能性があるので注意が必要である。

コレステロール摂取量を制限すると危険という、今までと真逆の内容が書かれていますね。
コレステロールが危険だと思って減らそうしすぎると、逆に体に悪影響があるので気をつけてください。

ちなみに食事摂取基準からコレステロールの目標量がなくなったとはいえ、もちろん脂質異常症の症状がある方は十分注意が必要であることには変わりありません。
医師の指導の元、最適な食事を摂るようにしてください。

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